個人事業主の方や法人など、事業所や所有している不動産物件の外壁塗装工事費用は、当然ながら経費として扱えます。ただし同じ経費とはいえ、どういった目的で外壁塗装工事を行ったかで、計上する勘定科目が変わってきます。外壁塗装工事にかかった費用を計上する場合、勘定科目は「修繕費」もしくは「基本的支出」のどちらかです。どちらで計上すべきか、勘定科目による違いは何か?など、外壁塗装工事の費用を経費計上する際の勘定科目について解説していきましょう。
外壁塗装工事の費用は、「修繕費」として計上するケースが大部分を占めます。事務所や所有する不動産の外壁が劣化したから塗装をし直すわけで、道理上も修繕費と考えるのが妥当でしょう。
では、どのような状況だと、勘定科目が「基本的支出」となるのでしょうか?基本的支出とは、業務を行う事務所や所有している不動産に関する経費を表します。つまり外壁の塗装工事を行った目的が、「修繕」とは考えられない場合は基本的支出として計上します。
たとえば事務所や店舗などの外装を、より華やかに見せるために色を塗り直した場合、外壁に問題がある状態ではないものの、より耐久性の高い塗料に塗り替えた場合、建物をより高級感のあるイメージにしたい場合の塗装などが、修繕以外の目的の塗装工事となります。
これらの目的で行う外壁塗装工事は、修繕することが目的ではなく、所有している不動産の価値をより高める目的であり、その結果集客などを増やすことが目的となる工事です。わかりやすく言えば「必要不可欠の工事ではない」という特徴があります。
では、修繕費と基本的支出ではなにが違うのかを確認しておきましょう。とくに税務上の処理に関する部分に注目して解説していきます。
外壁塗装工事の費用が修繕費として扱われるのは、外壁にクラック(ひび割れ)などが発生し、外壁塗装工事を行わないと、その建物内部に深刻なダメージを及ぼす場合などです。
つまり建物の維持管理、原状回復を目的とした、「その年度に行うべき必要不可欠な工事」ですので、費用はその年度のうちに一括して計上することが可能になります。
勘定科目が基本的支出になる場合、工事費用は「支出」ではなく「資産」として考えます。外壁塗装工事の目的が「建物の維持管理」ではなく、「建物の価値向上のための装飾品」となると考えればわかりやすいかもしれません。
ただし資産とはいえ、外壁塗装は経年劣化が考えられます。そのため外壁を塗装するという行為自体が消耗品の購入として考えられるため、減価償却の対象となります。塗装工事を行ってから複数年にわたり、その費用を計上していく形となるわけです。
仮に外壁塗装工事の費用が100万円、減価償却期間が10年間の場合で考えてみましょう。修繕費で計上できるケースでは、その年度のうちにすべての費用を経費として計上できます。勘定科目が基本的支出になった場合は、10年間で減価償却をしていきますので、工事を行った年度の計上できるのは10万円分のみということになり、以降10年間かけて減価償却をしていくことになります。
双方の経理上の違いは、工事をした年度にまとめて計上できるか、複数年に分けて減価償却を行うかという点になります。このどちらをメリットに感じるかは、事業主の状況ごとということになるでしょう。
この状況で大きなポイントとなるのは銀行など金融機関からの融資に関してです。外壁塗装工事費用を修繕費として一括で計上した場合、その年度の事業売り上げがそれだけ減少する(減少しているように見える)形になり、融資審査などで不利になる可能性があります。一方勘定科目が基本的支出となる場合、外壁塗装工事費用は経費ではなく資産になりますから、融資審査の際も若干ながら有利になると考えられます。
修繕費と基本的支出のどちらにメリットを感じるかは事業主次第といえるでしょう。
外壁塗装工事をするのが、給与所得者である個人のマイホームなどの場合はどうなるでしょう?この場合は確定申告を行うことで、還付金を受け取れる可能性があります。給与所得者の方にとって確定申告はあまり慣れないことですので、例年以上に手間のかかる手続きになりますが、計算上多くの還付金が期待できる場合はしっかりと資料をそろえて申告を行うことをおすすめします。
外壁塗装工事の費用を計上する場合、修繕費となるのか、基本的支出となるのか、また給与所得者で還付金があるのかどうか、あるとすればどの程度になるかなどは、専門的な判断が必要となります。
そんなときにおすすめとなるのが塗装業者です。私たち「株式会社成心仮設」では、外壁塗装工事のお見積もりの段階で、こういったご相談にも対応しています。今回の工事が修繕費になるのか、それとも基本的支出になるのかの判断はもちろん、個人のお客様の場合は、自治体からの補助金が利用できるのか、還付金の申請をした場合どの程度の還付金が考えられるのかなどにもアドバイスが可能です。
建物の外壁塗装工事は、その建物の価値を高めるためにも、耐久性を保つためにも不可欠な工事です。その工事をできるだけお客様の負担にならないようなご提案をさせていただきます。
©2023 SEISHIN KASETSU inc.