住宅の外壁リフォームで人気が高いサイディングをご存じでしょうか。
よく耳にするワードですが、どんな種類があるのか、従来のモルタル材との違いは何かイマイチよく分からないという方は多いのではありませんか?外壁リフォームを検討する場合に知っておきたい「サイディング」について説明します。
初めて外壁のリフォームをする方は「そもそもサイディングとは何のこと?」という疑問を抱くかもしれませんね。
まずはサイディングの基本の基を解説していきます。
サイディングは外壁素材(外装材)の一種のことです。
別名「サイディングボード」とも呼ばれるように、幅が15~60㎝程度の細長く平たい形をしています。サイディングは本来、木製の羽目板・下見板を意味しており、もともとは内装材としても用いられていました。現在、サイディングにはさまざまな素材のものがあります。住宅の外壁に合わせ、横方向あるいは縦方向にサイディングボードを貼り付けていきます。この作業を総称して「サイディング」を指すことも多いです。
これまでは外壁の施工において、モルタルに代表される外壁塗装が主流となっていました。外壁塗装は文字通り外壁に塗料を塗ることで外壁を仕上げる工法です。セメントを砂、水と練り合わせ、左官職人の手で下塗り、中塗り、仕上げ塗りと段階的に作業をおこなう必要があり、施工に時間がかかります。経年劣化によって塗装のひび割れが目立つのがデメリットといえるでしょう。
一方、サイディングは切断したサイディング材を工具で隙間なく貼り付けていく作業になります。水の侵入を防ぐため、素材の繋ぎ目を埋める「コーキング」と呼ばれる工事で仕上げます。
素材の大量生産が可能で同じ工程を繰り返す必要がないため、外壁塗装に比べて施工が早くなり、工費を安く抑えられます。ただ、経年によりコーキングが劣化した状態で放置しておくと、住宅そのものにダメージを与えることがあります。
サイディングと一言でいっても、その種類はさまざまです。
ここでは、サイディングの種類や人気色をみていきましょう。
・窯業系サイディング
サイディングの素材としてシェア率が高いのは窯業系サイディングです。
住宅の外壁では70%を占めると言われています。セメントや繊維質の原料を硬化させて作られたもので、密度が高く、耐震性や防音性、耐火性など、住宅に要求されるあらゆる性能に優れているのが特長です。
・樹脂系サイディング
塩化ビニル樹脂を主原料とするサイディングです。
日本ではあまり普及していませんが、アメリカやカナダでは長きにわたり用いられています。耐冷害性や撥水性、対候性、耐塩害性に優れているため、寒冷地や沿岸地域に適した素材です。表面塗装ではないため、再塗装をしなくても機能面に影響がありません。
・金属系サイディング
柄付けされた金属板と断熱効果のある裏打材で構成されています。
高い断熱性が期待できるため、省エネにも役立つでしょう。防水性や防音性にも優れており、軽量なので地震で倒壊するリスクが低いのもメリットです。
金属系サイディングはスチール系、アルミ系、ステンレス系と3つに細分化されます。
・木質系サイディング
天然の木に塗装を施したサイディングで、木材特有の温かみのある風合いが魅力的です。カラマツやスギ、ヒノキのほか、小さな木材を接着剤で成形させたパーチクルボードが用いられています。燃えやすいというデメリットをクリアするため、不燃材料の認定を取得した製品も増えてきました。防水機能を兼ね備えた塗料を採用することで、腐食リスクを抑えることが可能です。
これまで「サイディングはデザイン性に劣る」という先入観がつきものでしたが、最近はカラーやデザインのバリエーションが豊かになっており、幅広いニーズに対応可能です。
サイディングの人気色といえばやはりホワイト系でしょう。明るさや清潔感を感じさせるポジティブなイメージの多いカラーです。
似た色でベージュやアイボリーなど、少し黄みがかったものも好まれる傾向にあります。明るめのカラーは石積調や塗壁調のデザインでよく用いられます。
落ち着いた雰囲気を演出するにはブラウン系が向いています。木目調やレンガ調などにデザインされることも多いです。
グレー系はモダンでスタイリッシュなイメージを、ブラック系は重厚感やシックなイメージを与えてくれます。
外壁リフォームでサイディングを検討しはじめたら、実際の耐久性や価格がどれくらいなのか気になることでしょう。
施工後に後悔しないためにも、サイディングのコストパフォーマンスを知っておくべきです。
サイディングは寿命が長いのが特長の一つで、大掛かりなリフォームが必要なのは30~40年後です。長寿命化するためには、定期的にメンテナンスをすることが大切となります。サイディングのコーキングが劣化しはじめるのが5年程度、そのほかサイディングボードの反りや塗装の剥がれなどが7~8年程度で発生します。
その都度コーキング補修やサイディングの重ね貼り、交換などをおこなうことが推奨されます。
モルタル外壁をサイディングにリフォームする場合、その方法は2種類あります。既存の外壁に重ねて貼るカバー工事と、既存の外壁を撤去する張替え工事です。
20~30坪の住宅を例に挙げると、カバー工事は100~200万円、張替え工事は150~300万円程度の費用がかかります。
外壁塗装に比べ、初期費用が抑えられるのがサイディングのメリットです。
メンテナンス次第では、モルタル外壁よりも耐用年数を長持ちさせることも可能ですので、リフォームの際に検討してみてはいかがでしょうか。
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