足場を組み立てるときには、単管と呼ばれる単管を組み合わせていきます。
この単管を交差させたり、並行に設置したりすることで、直線の単管でも様々な形の工作物に合わせた足場を組んでいけます。
この単管を組み上げていくときに重要な役割を果たす資材が「クランプ」です。
クランプという資材の用途や種類について詳しく解説していきます。
足場を組み上げるときには、2本または3本の単管を組み合わせて緊結していく必要があります。この緊結部に使用する資材が「単管クランプ」で、一般的には「クランプ」と呼ばれています。クランプを使うことで、2本または3本の単管をしっかりと交差させ、緊結していけるのです。
緊結というのは部材を留め具で結合することで、クランプは単管を結合する緊結金具となります。
クランプには柱を通す大きな穴と、クランプに通した柱をしっかりと締め付けるためのボルトとナットが付いています。適度に締め付けられるよう「クランプ回し」と呼ばれる既定のスパナを利用してナットを締め付け、単管の交差緊結をしていきます。クランプには金色のものや銀色のものなどがありますが、基本的に色の違いがあるだけで強度に違いはありません。
ナットの締め付けが弱いと緊結がしっかりと行えないため、足場が崩壊する危険性があります。
一方でナットの締め付けが強すぎると、クランプが滑ってしまい上手く緊結できないことがあります。不慣れなうちは、既定の持ち手の長さを持つスパナを使えば、適切な力で締め付けられます。慣れた足場職人になってくると、インパクトドライバーやラチェットレンチを使用して手早くクランプの締め付けを行っていきます。
単管を組み上げるときに使うクランプには大きく分けると4つの種類があります。
それぞれの使用目的や特徴を見ていきましょう。
直交型クランプは交差する2本の単管を90度の交差角で緊結する場合に使うクランプです。
縦方向と横方向の単管をクランプに通すことで、直交に組み上げられます。
角度は90度に固定されており、確実に直交にて緊結できます。
足場を組み上げるときには最も使用頻度が高いクランプで、引張強度は1500kg以上あります。
また許容荷重については500kgとなります。
自在型クランプは、交差する2本の単管を自由な角度で緊結したいときに使うクランプです。クランプのつなぎ目が回転する仕組みになっているため、任意の角度で緊結できます。
自在型クランプは、直行型クランプを用いて足場を組み立てたときの強度不足を補強するためのものです。筋交いなどを設置する場合に使用するもので、自在型クランプのみで足場を組み上げることはありません。
引張強度は1000kg以上、許容荷重は350kgと直交型クランプに比べると強度は低くなっています。
このため、足場を組み上げるときには、直交型クランプをメインに用いるのです。
並行型クランプは2本の単管を並行に緊結するときに使うクランプです。主に支柱と単管をつなぐときに使います。
自在型クランプでも並行に単管を緊結できますが、自在型クランプは角度が固定できないため並行を保ちにくいですが、並行型クランプを用いれば確実に並行に単管を緊結できます。
足場の組み立てではあまり使う頻度は高くありません。
3連クランプは、その名前の通りに3つの単管を合わせて組み上げるときに使用するクランプです。
3連クランプには2つのタイプがあります。
1つは直交型クランプと単管クランプを組み合わせたものです。
3連クランプの内2つは90度に固定されているタイプとなります。
もう1つは自在型クランプと単管クランプを組み合わせたものです。
3つのクランプがそれぞれ自在な角度で緊結できます。
強度は直交型の部分は引張強度1500kg、許容荷重500kgで、自在型の部分の引張強度は1000kg以上、許容荷重は350kgです。
足場の組み立てで使うクランプは主に、直交型・自在型・3連の3種類のクランプですが、垂木をつなぎ合わせるときには「垂木止めクランプ」を使うことがあります。今までのクランプは2個または3個の単管クランプを組み合わせたものですが、垂木止めクランプは単管クランプ1個に、垂木に固定する金具がついたものです。
垂木にビス止めをすることでしっかりと金具を固定し、単管は単管クランプで固定することでしっかりと接合させます。
足場を組み上げるときに使う単管は外径48.6mmと規格により決まりがありますが、場合により異なる外径のパイプを使用することがあります。
単管と異型管を組み合わせるときには、異型クランプを利用することがあります。
足場を組み上げるときに確実に単管パイプを緊結していくための資材がクランプです。
しっかりとクランプで緊結することで、丈夫な足場が組み上げられます。
自在型クランプは自由に角度が付けられるため、直交に組み上げるときにも使えますが、強度の関係で直交型クランプを用いるのが基本です。
クランプも摩耗すると強度が保てないため、使用前と使用後に劣化具合をチェックし安全に使用できるようメンテナンスを行うことが大切です。
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