住宅の顔とも呼べる外壁ですが、その材質にはいくつかの種類があり、それぞれ異なる特徴やメリットを持っています。
単に外観の見た目を左右するだけではなく、メンテナンスの頻度や機能性、家の寿命にも影響を与えるため、外壁を選ぶ際はそれらの要素も考慮しなければなりません。ここでは、外壁にはどんな種類があるのか、各特徴を解説していきます。
外壁には「雨風や太陽光などから生活空間を守る」という重要な役目があります。
家族が安心して過ごすためには、耐震性や断熱性、防水性なども必要です。また最近では、防犯やプライバシー保護、遮音性など、外部との遮断においても高い機能性が求められています。そこで、まずは外壁材にはどんな種類があるのか知っておきましょう。
現在、日本の住宅で主に用いられている外壁は3種類に大別されています。
・塗り壁(モルタル)
・サイディング
・タイル
それぞれ材質や施工方法に違いがあるため、見た目のデザインや性能も大きく異なります。
従って各外壁材の特徴と予算、希望を照らし合わせた上で選定していかなければなりません。
粉砕した粘土や石を板状にし、焼き固められた外壁材がタイルです。
タイルの工法は下地板にパネルを用いる乾式、下地にモルタルを用いてタイルを貼る湿式に分けられます。
外壁タイルは素材によって大きく3種類に分けることができます。
・磁器質
1250℃以上の高温で焼き固められた、耐久性が最も高いタイル。
白色で透明性があるのが特徴的です。
・せっ器質
1200℃前後で焼き固められています。
外壁タイルに最も多く使われます。
・陶器質
1000℃以上で焼き固められたタイルで、硬度が低く吸水性が高いため主に内装に用いられます。
外壁タイルは建物に高級感を生み、その存在を強調することができるでしょう。素材自体に硬さや強度があるため、傷や変色の影響を受けにくいのがタイルのメリットです。また吸水率が低いため、建物を雨から守ることができます。
外壁材の中でも圧倒的な耐久性を持ち、きちんと施工されていれば、耐用年数はおよそ40年となります。ただし、10~15年間隔でメンテナンスが必要ですし、初期費用が高くなりがちなのがデメリットでしょう。コーキングの劣化による、浮きや剥がれが起こりやすい点にも注意が必要です。
従来の日本において、多くの家屋で採用されていたのが塗り壁です。
文字通り外壁に塗装料を壁に塗ることで仕上げていきます。
塗り壁に用いられている素材は主に3種類あります。
・モルタル
セメントと砂を水で混ぜ合わせた材料です。
外壁リフォームで最も多く用いられている素材ですが、ひび割れが起きやすく耐久性に劣ります。
・土塗り
土を材料としており、和風や洋風などの雰囲気、ザラザラや平らなどの質感といったデザインの選択肢も広いです。
表面が崩れやすいのが難点です。
・漆喰(しっくい)
石灰と粘土を主原料としており、審美性や耐久性の高さが特長です。
表面が白いゆえに汚れが目立ちやすく、費用が高い傾向にあります。
繋ぎ目がないため、壁の形状に左右されず、デザインに自由度があるのがメリットです。耐火性に優れており、耐震性や耐久性も比較的高いといえます。また、初期費用を抑えることができます。手作業になるため温かみが生まれますが、施工する職人の技術力によって仕上がりに差が出やすいことは否めません。
一般的な耐用年数は30年程度、5~10年でメンテナンスを必要とします。
板張りの外壁は、下見板張りや羽目板張りとも呼ばれており、昔の家屋に多く見られます。
外壁を板張りにするには、「木質系サイディング」と呼ばれる木材を用います。
サイディングとして用いられる木材の種類は、スギやヒノキ、マツなど水に強く調湿性に優れたものが挙げられます。
ホワイトやブラウン、ベージュ、イエロー系が主流ですが、塗料によってさまざまなカラーにすることができます。
塗料には合成樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂の3つが使われています。
木の温もりや独特の風合いが魅力的で、断熱性が高いのが大きなメリットです。ほかの外壁材と比べると水に弱い素材であるため、腐食や色あせが起こりやすいのがデメリットとなります。耐久性が低いわりに初期費用が高く、メンテナンスを必要とする頃には木材自体が劣化しており、寿命は最大10年程度と考えておきましょう。
多様化するニーズへの対応力が高いことから、需要が増加しているのが外壁サイディングです。
板状の外壁材を張り付けることで仕上げていきますが、その工法は張替えと重ね張り(外壁カバー工法)の2種類があります。
木質系サイディングを除き、外壁材に用いられるサイディングは3種類あります。
・窯業系サイディング
セメントと繊維質の原料を混ぜてつくられ、色や柄(レンガ調やタイル調など)デザインの幅が広いのが特徴的です。
現在の住宅では、およそ80%が窯業系サイディングを採用しているといわれています。
・金属系サイディング
金属板に発泡系樹脂断熱材を混ぜて加工したもので、ほかのサイディングに比べて軽量です。
素材には溶融亜鉛メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、アルミニウム合金、ステンレス鋼板などの種類があります。
・樹脂系サイディング
塩化ビニル樹脂が原料となっており表面塗装ではないため、再塗装の必要がありません。
デザイン性に乏しいのがネックで、国内ではあまり採用されていませんが、北米ではシェア率がとても高いです。
窯業系サイディングは、耐火性とコストパフォーマンスに優れています。金属系サイディングや樹脂系サイディングは耐久性が高く、メンテナンスコストが低い点がメリットとなります。一方、コーキングの経年劣化が起きること(窯業系、金属系)、耐火性能が低いこと(樹脂系)がデメリットです。
外壁材は建物の審美性を高めるだけでなく、さまざまな役割を果たしています。
住宅を新築するとき、あるいは外壁を古いトタンなどから新しいものにリフォームしたいときに今回の記事を参考にしていただければ幸いです。
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