外壁塗装の強度や寿命を決めるのは、最終的に重ね塗りする「塗料」です。塗料には種類によってさまざまな特徴がありますが、なかでも「クリア塗料」は透明なので、外壁材そのもののデザインや色合いをそのままに塗装できるという特徴があります。
今回はクリア塗料とはなにか、特徴やメリット・使用する際の注意点も含めて解説していきましょう。
「クリア塗料」とは、外壁塗装において用いられる塗料の一種で、文字どおり「透明な」塗料を指します。
通常外壁塗装に用いられる塗料には、顔料と呼ばれる色をつかさどる成分が含まれています。塗装というのが「色をつけること」というイメージの強い言葉なのは、こうした顔料を含む塗料を塗りこんでいくことが多いためです。通常はこの顔料入りの塗料によって最終的な外壁の色が決まりますが、クリア塗料にはこの顔料が含まれていません。
顔料が含まれていないので色がなく、見た目は無色透明になっています。そして塗ることによって色が発色することもないので、塗料を塗る外壁材の表面そのものの色がそのままに残ります。
無色透明でなんの特徴もなさそうなクリア塗料ですが、外壁塗装に用いられる塗料に多様な種類があるのと同じように、クリア塗料にもさまざまな種類があるのです。そして大まかな種類わけについては、顔料入りの通常の塗料と違うところはあまりありません。
まず「アクリルクリア塗料」は、文字どおりアクリルを原料とした無色透明な塗料です。アクリル塗料は寿命が短いながら、扱いやすい塗料として知られています。耐用年数の目安はおおよそ5年~8年ほどで、価格も1平方メートルあたり1,400円~1,600円と、安いのが特徴です。
「ウレタンクリア塗料」は外壁塗装にも一般的に用いられているウレタンを原料とし、寿命はアクリルよりは長いものの、おおよそ8年~10年と塗料のなかでは比較的短めとなっています。1平方メートルあたりの価格相場は1,700円~2,200円と、安価です。
「シリコンクリア塗料」は近年耐久性の高さから人気のあるシリコンを材料にしており、耐用年数目安はおおよそ10年~12年と、比較的長くなっています。1平方メートルあたりの価格は2,200円~3,000円と、このあたりから価格的には安価ではなくなっていきます。
「フッ素クリア塗料」は六本木ヒルズや東京スカイツリーなど都内の有名な建築や、レインボーブリッジなど主要な吊橋にも用いられている、非常に耐久性に優れたフッ素系樹脂を材料としているものです。外壁塗装においては最も寿命が長く、耐用年数の目安はおおよそ12年~15年です。1平方メートルあたりの価格は3,800円~4,800円と、相応の値段となっています。
ほかにも耐候性に優れた「無機クリア」や、紫外線遮蔽効果の高い「UVカット塗料」なども人気です。
このような特徴をもつクリア塗料を用いるメリットは、いったいどのポイントにあるのでしょうか。
最大のメリットはやはり、「外壁材のデザインをそのままに塗装を行える」ことでしょう。たとえばサイディングボードなどデザイン性の高い外壁材を用いていて、その色合いや模様をそのままに活かしたい場合には、クリア塗料での塗装が一番です。サイディングにはもともと豊富な種類があり、もともとの外壁材のままの色のほうが、材質感が出てよい場合もあります。
さきほども説明したように通常の外壁塗装の場合では、顔料有の有色塗料を塗ります。そのため塗装が最終的な色合いを決めますが、クリア塗料には顔料が含まれておらず色がなく透明な状態です。顔料が含まれていないことによって、外壁塗装で起こりがちな「チョーキング現象」(顔料が塗膜表面に露出して触ると白い粉が付くこと)が、起こらないというメリットも大きいものです。
そして塗装の目的の根本は着色よりも耐久性の向上にありますので、クリア塗料を塗ることによってデザイン性を損ねることなく、外壁の保護を効果的に行えます。またお好みの材料を選ぶことによって外壁にツヤを出せるうえに、逆にツヤを消すこともできるのです。
また通常の塗料は「3回塗り」ですが、クリア塗料の場合は「2回塗り」で済むので、工数が減り費用的にも安く済みます。
ここまで書いてきたように多くのメリットのあるクリア塗料ですが、デメリットも存在します。
最大のデメリットは、「クリア塗料を塗っても見栄えがよくならない」ことです。よくも悪くも外壁材の状態をそのままに残してしまうクリア塗料は、外壁材の劣化した状態もそのままにさらけ出してしまうことになります。
通常の塗料であればあらたに色が入ることで見栄えをよくできますが、クリア塗料ではそうした効果はありません。基本的には新築間もないころか、新築から3年以内くらいの新しい壁にしか適さない塗装である点は、大きなデメリットといえるでしょう。
またクリア塗料は、シーリング材の劣化をもたらすというデメリットがあります。そのためシーリング材を充填することで修繕する、深いひび割れ(構造クラック)のある外壁にはクリア塗料は使用できません。通常の塗料であれば塞げる浅いひび割れ(ヘアークラック)も、クリア塗料では塞げないこともデメリットです。
さらにいえば無機コーティング塗料や光触媒コーティングが施された外壁だと、クリア系塗料を弾いてしまうので塗れません。逆に塗装剥がれの原因となってしまい、踏んだり蹴ったりな状態になってしまいかねないのです。
今回はクリア塗料の種類別の特徴やメリット、デメリットや注意点に至るまでを解説しました。クリア塗料はメリットもありますが、デメリットも比較的多い塗料といえるでしょう。とくにシーリング材と相性が悪い点は、クリア塗料の使用条件を非常に狭めてしまいます。
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